異界兵装 タシュンケ・ウィトコ

あらすじ

世界の危機を救うのは、恋する馬型ロボット馬型巨大ロボット・タシュンケ・ウィトコが20年間眠る首府大学。そこに異界から刺客たちが次々現れる。僕は愛する範子を守るため戦い始めた……。

異界兵装 タシュンケ・ウィトコ (講談社BOX)

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雑感

前作「ぐいぐいジョーはもういない」で私的2010年ベスト百合ラノベランク1位になっていた作者:樺薫さんの新作。
百合に関しては七奈美&珊璃くらいにしかなかったかな。なので百合期待には残念といったところ。

内容を端的に評すれば、異界のロボがパイロットに恋をして、パイロットの少女がそれに気づく話。

読み始め序盤でやけに違和感があると感じたが、1人称の主体が馬ロボ:タシュンケ・ウィトコだからだというところだった。これがなかなかに読みづらい。

面白いところは第1章ではタシュンケ・ウィトコは休止状態で、作中の表現が聞き手のみに特化していた点。語り部がタシュンケ・ウィトコであることをうまく気づかせない工夫があり、それに気付かされた時ついスゲェと思ってしまった。

それでも個人的にはやっぱり七奈美&珊璃の関係に特に着目したいわけで……
七奈美と珊璃はずっと敵対の関係であったにも関わらず、最終的に抱き合って爆発するあたり、この作者は淡々と距離が遠近するのを描いた上で最後に1シーンで関係性を決定的に表現するのが上手い。

アイドルマスターXENOGLOSSIA」が特に作品に近い内容らしいのだが、残念ながら未視聴。ただ、あとがきを読むとなるほどと思えるロボと人間に特化した作品なんだと納得できる。