赤い糸切れちゃうよ・・・。下巻

赤い糸切れちゃうよ・・・。下巻(萌え萌え文庫)

赤い糸切れちゃうよ・・・。下巻(萌え萌え文庫)

雑感

自己評価で最高のクズ作品と認定した赤い糸きれちゃうよ・・・上巻から3ヶ月(感想リンク)。待望の下巻の登場です。

ではまず、Amazonなどで公開されているあらすじをよく読んでみましょう。

自分さえ良ければ、他の人なんてどうなったっていい! 自分さえ得すれば、他の人が不幸になったっていい!
人間のエゴむき出しの主人公に襲いかかる数々の試練。 仲間を盾にして自分だけ生き延びようと、人間の一番汚い部分をこれでもかと 晒す主人公。 罪のなすりあい、裏切り、女同士の陰湿なイジメ、隙あらばヒロインの尻を触ろうとする男子生徒。無人島と言う極限の状態で人間のエゴをむき出しにする若者達。 何度も訪れるヒロインの死に際に主人公の取る行動とは? 人間とは何か?生きるとは何か?をテーマに送る鬼才が描くループミステリー下巻の登場。
上巻での伏線、謎が一気に解ける解答編

このあらすじで読者に読んでみたいと思ってもらおうとしているなら編集の人は仕事やめたほうがいいと思います。「自分さえ良ければ、他の人なんてどうなったっていい!」しか考えていない主人公の話なんてどこに需要があると思ったんでしょうね。

で、文章力うんぬんはともかく、あいかわらずこの作品の問題は登場人物が誰一人として魅力的でないことじゃないかと。登場人物の半分に人間のクズを配置して、これを人間のエゴという便利な言葉で取り繕っております。主人公が「手柄があったら俺のおかげ、ミスがでたら誰かを率先して責める」を上下巻ずっと一貫しているわけで、読書中に気分がどんどん悪くなってくるのなんの。
情景描写から心情描写まで何もなく、時系列を追うだけなのも上巻からかわらず。そもそも、なんでクラスメイトでミステリーツアーに参加するという設定で人間のエゴをテーマにしたのかわからない。

ループミステリらしいけど、ループものってだいたいトライアンドエラーで問題を乗り越えていくものだと思ってるが、「主人公死ぬ→ループ→なにもしてないのに死ななくなる」なのでどこに死を回避した鍵と伏線があったのかも意味が分からない。作品最後にループしていた原因説明はあったけど、「ループだと思った?○○でしたー」な結論で、謎が一気に解ける解答編というのはあらすじ詐欺でした。作品の残り50ページのところで新しい設定出してそれを解決に結びつける恐ろしいものを見た。

この作品は読んだ人をどれだけ不愉快にさせるかを実験していた作品なんじゃないかとそういう結論に至りました。

おまけ

上巻で存在しなかったあとがきが下巻では挿入されていましたが、これなら入れないほうが良かったです。
【ネタバレ注意】http://twitpic.com/61vrsq