ぐいぐいジョーはもういない

ぐいぐいジョーはもういない (講談社BOX)

ぐいぐいジョーはもういない (講談社BOX)

雑感

女子高校硬式野球のバッテリーを特に捕手視点で描かれた作品。肘に違和感を抱えたピッチャーが決勝の舞台で完全試合を成し遂げるまでの詳細な1球1球の描写が実際に球場で観戦しているような感覚ですごかった。それでいてバッテリーの2人の間にある信頼、不安、期待、緊張が随時変化していく複雑な感情が読み取れるのも魅力。
 バッテリーの間にはホームからマウンドまでの14メートルの近くて遠い距離が残されているジレンマが、作品最後のあの1アクションで0距離に心身ともにもっていったあの瞬間の盛り上がりのためにここまで鮮明な描写があったんだと。
野球がわかり、女の子の信頼関係が読みたい人にはぜひおすすめする。ぶっちゃけ前回書いた百合まとめ作品にノミネートしてぶっちぎるレベルの面白さだった。