白鷺このはにその気はない!

あらすじ

「わたし、小清水くんのこと好きなんです。付き合ってください!」
「ごめん、俺は女の子じゃないから君とは付き合えない!」
この世界に染色体はXだけでいいと言ってはばからない百合好き少年・小清水祐貴。
そんな小清水をうっかり好きになってしまった白鷺このはに告白されても、逆に、このはとその幼馴染・柊桐佳をくっつけようと奔走する始末。その上、桐佳にちょっかいを出す先輩・朝倉咲良まで現れて、
小清水の周りは何故か複雑な四角関係に……!?
「俺なんか好きになっちゃだめなんだって! 白鷺さんには柊さんがいるんだ!」お前は本当にそれでいいのか、小清水!

早矢塚かつやがおくる、すれ違いラブコメ

白鷺このはにその気はない! (一迅社文庫 は 4-4)

白鷺このはにその気はない! (一迅社文庫 は 4-4)

雑感

 主人公の小清水が残念すぎてもったいないけど、それを除けばなかなかの良作。
 なんですかこのtwitterで垂れ流されてる百合好きを主人公にしてみたようなお話は……。あとがき読むと主人公のモチーフは某ドル○ドさん作者ですかそうですか。LNFで聞いてたけどこういうことだったのかと思うしか無い。

 主人公が百合オタだということを免罪符に「空気読まない」、「相手の気持ち考えない」としているようにしか思えなかったのが大きくマイナス。NOタッチ百合オタと言っている割にはズカズカと土足で入り込んでくるしこれはだめだよ。

 それを無視してヒロインズは魅力的だと思う。特に柊桐佳はすごい引き込まれる。白鷺このはとの距離感に悩む姿、このはとの過去エピソードの『片翼の天使』、朝倉咲良との歪んだ関係。どれも桐佳の秘めた気持ちの強さを描かれていて、このあたりが主題なら評価ダダ上がりなんですけどね。

 四角関係も落とし所はできてるし、決して放り投げっぱなしで『とりあえずやってみました』ではないのはいいけど、やっぱりもったいない主人公……。百合読みは十分できるし、百合シチュエーションも存分にあるけど、百合作品ではない。百合をモチーフにした作品です。なんども言うが主人公がもったいない。